【魅惑のインクルージョン】ヘマタイトインクォーツ 4.6ct

【赤と黒。２色のインクルージョンが織りなす模様の美、ヘマタイトインクォーツ】 透明に澄み渡ったクォーツの中にほんのりと浮かび上がる黒と赤のインクルージョン。水晶の結晶の中に、ヘマタイトなどが偶然入り込んでできた模様。決して大げさに存在を主張するわけではなく、そっとクォーツに寄り添い、その魅力を引き出すような佇まいは、お互いの良さを引き出しあうからこそ生まれます。 ただただ透明で清らかな輝きをもつクォーツは、それだけでも美しいのですが、インクルージョンによって劇的に変化するドラマティックな性質を持っています。このヘマタイトインクォーツは、水晶の楚々とした魅力を持ちながらも、コントラストの強い赤と黒のインクルージョンが「デザイン」のスパイスになっています。宝石の見本のような端正なエメラルドカットの中に、この２色が絶妙な塩梅で配置され、バランスの取れた美しさ。位置が違っても、量や大きさが違ってもこの可愛らしくもロックなテイストは生まれてきません。その意味では、大地が生み出した鉱物に、人の手が加わって初めて完成される芸術とも言えるでしょう。素朴な水晶の塊に美を見出す人の心と技術が作り出す宝石と言えるかもしれません。 インクルージョンは不純物でもあるので、この手の石には常にカットの難しさが付きまといます。美しさと個性を生み出すインクルージョンが研磨の邪魔になってしまうことがあるのです。カットしている途中でインクルージョンが出てきてしまうと、割れや欠けの原因になります。しかし、傷を恐れて磨くと何もないただのクォーツになってしまい、ときめきが半減してしまいます。残すところと取り去るところの絶妙なバランスの上に成り立つ芸術でもあるのです。 このヘマタイトインクォーツも、テーブル面（おもて面の平らな部分）とガードル（端の細くなっている部分）にインクルージョン由来の傷があります。これを取ってしまうと独特の模様が崩れてしまうので、リカットはせずあえてそのままにしています。ですので、傷をネガティブにとらえず、この石を構成する重要な要素として、愛でてくださる方にお迎えいただければ、この上ない喜びです。